事例データ
1、当社は、自動社部品のメーカーです。
2、ここ数年、部品の組み立て作業員が慢性的に不足しています。
3、そこで、中国には大学卒業者で日本に就職を希望するものが多数いると聞き、新卒者を募集したところ応募 があり、面接の結果、採用することにしました。
4、当該外国人は、大学で機械工学を専攻しています。
5、当該外国人が大学に在籍していることは、大学から発行された在籍証明書や成績証明書で確認をしました。
6、当該外国人が卒業後、入国管理局に在留資格「技術」の在留資格認定証明書交付申請を卒業証明書ととも に提出したところ、「在留資格認定証明書不交付通知書」が届いてしまいました。
ここが困った!(ポイント)
1、当社としては、大学を卒業した者であるので在留資格認定証の不交付は全く予想していませんでした。なぜ 不交付になってしまったのか、とても困惑しています。
2、当該外国人は日本で働くことを今まで強く望んでいます。当社としてもまじめでやる気のある当該外国人を何 としても採用したいのですが、どうしたら良いでしょうか。
これで解決!~事前対策(在留資格認定証明書を申請する前)~
在留資格を理解して採用活動をする
外国人を雇用する場合、在留資格認定証明書交付申請を行うにあたり、当該外国人の経歴書を基に学歴・職歴等を申請する在留資格の基準に適合しているか(「基準適合性」)を、基準省令で判断するのはもちろんのこと、当該外国人が会社で行う予定の業務内容が、申請する在留資格の「本邦において行うことができる活動」に当該しているか(「資格該当性」)を、入管法別表を基に慎重に検討することが必要です。
たとえば、在留資格「技術」では、当該外国人が会社で行う業務内容が「理学、工学その他の自然科学の分野に属する技術又は知識を要する業務」に該当しなければなりません(入管法別表1の2参照)。
事例データの会社は、当該外国人の学歴は在学証明書、成績証明書、卒業証明書等で事前に調べていました。が、当該外国人が会社で行う業務内容について、在留資格「技術」の活動内容を理解した上で職務内容を決定することを怠ってしまった結果、在留資格ん認定証明書が不交付となってしまったのです。
これで解決!~事後対策(在留資格認定証明書を申請した後)~
(1)在留資格認定証明書交付申請が不交付となってしまった場合
まずは、入国管理局に不交付の理由を確認してください。会社の事情にもよりますが、その理由を会社で検討 の上、考慮できる余地があるのでしたら改善した上で再申請を行うことも可能です。
このケースでは、在留資格「技術」の資格該当性が問題となったと考えられます。
「技術」の在留資格に該当する活動、大学等で理科系の科目を専攻、または長年の実務経験を通して修得した一定水準以上の専門技術・知識を有していなければ行うことができない、いわば専門性の高い業務に従事する活動です。
つまり、当該外国人が入社後に行う職務内容の「部品の組立作業」は単純労働とみなされて在留資格「技術」の活動に該当しないと判断されてしまい、結果不交付となってしまったわけです。
以上の戸とおり、たとえ当該外国人が大学を卒業した者で機械工学という専門性の高い知識を修得していたとしても、その者が行う業務内容自体が理学、工学その他の自然科学の分野に属する技術または知識を要する業務に従事する活動でなければ、これに従事する活動は、「技術」の在留資格には該当しませんので不交付となってしまいます。
(2)再申請をする場合
このケースの場合、当該外国人は大学で機械工学を修得していますので、もし会社で機械工学の知識を応用できる業務が存在してその業務に就かせるのでしたら、在留資格認定証明書が交付されるでしょう。
ただし、あくまでも部品組立にこだわるのでしたら「理学、工学その他の自然科学の分野に属する技術又は知識を要する業務」に該当しないとみなされ、在留資格認定証明書が交付される可能性はないと言っても良いでしょう。