事例データ
1、当社は、4月に大学新卒者を採用しましたが、人手不足が生じ、6月にさらに外国人の大学新卒者を採用することを決定しました。
2、面接に来た中に真面目で実直な者がいましたので、ぜひ、その者を採用したいと考えました。ところが、採用を検討する際、その者のパスポートで在留資格を確認したところ、「短期滞在」となっていました(4月に採用した新卒者のときの在留資格は「留学」でした)。
○まとめ
(1)4月に採用した新卒者が採用前に有していた在留資格;「留学」
(2)今回、採用を考えている者が有している在留資格;「短期滞在」
ここが困った!(ポイント)
1、「短期滞在」の資格というのは、観光目的のためのビザと聞いていたので、はたして、このような在留資格の者を採用したときに、後々何か問題にならないかが心配です。履歴証を信用していいのでしょうか。
2、当社としては、在留資格変更の知識が不十分なため、対応に困っています。
◎ポイント
(1)外国人留学生が卒業と同時に就職する場合の在留資格変更の流れは以下のとおりです。
「留学」→就労できる在留資格(「技術」「人文知識・国際業務」など)」
(2)外国人留学生が大学在学中または専修学校等在学中に就職先を決めることができなかったとき、さらに続 けて就職活動をする(いわゆる「就職浪人」)場合の在留資格変更の流れは、以下が考えられます。
「留学」→「就職活動目的の「短期滞在」」→「採用時までの「特定活動」(次項「ここにも注意!」参照)」 →「就労できる在留資格(「技術」「人文知識・国際業務」等)」
これで解決!~事前対策(採用前のとき)~
(1)就職浪人の場合の在留資格変更の流れを理解する
留学生の全員が大学在学中または専修学校等在学中に就職先を決めることができれば良いのですが、なかなかそうもいきません。いわゆる「就職浪人」する外国人も多くいるのです。
そこで、大学を卒業した留学生や専修学校等で「専門士」の称号を取得して卒業した留学生が、卒業後も就職活動を行っており、かつ、卒業した大学や専修学校等からの推薦があるときには、「短期滞在」という在留資格を与えられる場合があります。「短期滞在」といっても観光目的の場合だけではないのです。
会社として、採用したい外国人が上記の意味での「短期滞在」の資格を取得しているか確認しましょう。方法としては、以下の(2)(3)があります。
(2)ヒアリングをしっかり行うとともに、パスポートを確認する
その外国人からしっかりヒアリングを行いましょう。そして同時に、パスポートも確認します。パスポートを見て、まず一番新しい証印の在留資格「短期滞在」となっていること、そして、その「資格滞在」の前の在留資格が「留学」となっていること(「留学」から「短期滞在」という順序で、在留資格変更がなさっていること)等の有無を確認します。これらの点が確認できれば、(1)でいう「短期滞在」である可能性が高くなります。
(3)大学等の教育機関からの推薦状を確認する。当該教育機関に事実確認する
(1)でいう「短期滞在」の資格を有する外国人は、自身が在籍していた大学等の教育機関からの推薦状があるはずです。会社としては、外国人から教育機関からの推薦状の写し(コピー)を提出してもらうこと、それと同時に、教育機関にその事実を確認しましょう。
これで解決!~事後対策~(何の確認もせずに、採用を決めてしまったとき)~
(1)在留資格の確認を行う
事前対策(1)~(3)を確認せずに、当該外国人に内定を出してしましった場合、事後的になりますが、上記(1)~(3)に基づき、在留資格を確認することが必要です。
(2)ほかの目的の「短期滞在」者であった場合、改めて正規の手続きを行う
会社が、観光目的等(商用目的含む)の「短期滞在」者を気に入って、就労させたいと考えても、観光目的等(商用目的含む)の「短期滞在」から就労資格への在留資格変更許可申請は原則として認められていません。この資格の外国人は、あくまで短期間の来日を目的に滞在している者だからです。もし、そのような外国人を採用したのであれば、一度帰国してもらった上で、正規の「在留資格認定証明書交付申請」の手続きを行いましょう。