企業に入る前に、あまり色が付いていない方がよい。
個性や持っている知識・技術が特殊で、自己を確立してしまっている人よりも、強い個性、クセがなく、入社してから、その企業向けに教育訓練できる、その企業にふさわしいユニークさを開発できる人がよい。
ポテンシャルが高く、平均的な「できる人」がよい。
ある点では突出しているが、ほかの点で劣っている人、ユニークな力や特色を持っているけれどもバランスが悪い人よりも、平均的な優等生がよい。中庸がよく、同時にNポテンシャルの高さが感じられる人材がよい。
入社直後から一家言を持つような「生意気」で、明確な希望を持つ人ではなく、まず下積みをする準備がある人がよい。
新人社員は同期生と横一線、同じように下積みの仕事をすべきである。若く、組織に入って間がないのに、他と違う意見を出したり、新しい提案をしたりするのは、「生意気」である。
このように比較してみると、個人にはユニークなさが必要である、そのため、外面的な特色と内面的な特色を組み合わせる(ORをANDにする)、分野の俯瞰や横断が必要、ユニークさも年齢に関係なく常に更新する必要がある、など本書で提案する考え方は、これまでの日本企業が考える人材や雇用、キャリアの考え方とはかなり違うことに気がつくでしょう。
企業の制度として、「正社員として人材を囲い込む」、「転職は基本的にしない」ことを前提とする「グローバル」な考え方と本書で提案する「自分を狭い世界に閉じ込めない」、「常に新しい分野を目指す」という「オープン化」とは相容れません。意思決定の力を持つのは特定のトップという固定的な方式ではなく、「オープン化」をとらえている企業も少なくないと思います。