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面接、自分らしく 大手採用担当に聞く「ポイントは?」

 2014/3/3情報元 日本経済新聞 朝刊


2015年の春の新卒採用に向けて、いよいよ4月から大手企業の面接が始まる。面接で何を話し、どうアピールすればいいのか不安な学生も多いかもしれない。企業は面接で学生のどこを見て、何を知ろうとしているのか。金融機関や自動車メーカーなど人気業種の採用担当者に聞いてみた。






■「なぜ」3回繰り返す


「学生がその場で答えを考えるように、質問では『なぜ』を3回繰り返す」。日本生命保険の人材開発室で室長を務める浜口知実さん(46)は、面接での質問のノウハウを明かしてくれた。

 

同社は面接で「頭の良さ」「コミュニケーション力」「やる気」の3つを重視している。「3回のなぜ」で、想定外の質問にもきちんと答えを組み立てられるかを通じて頭の良さを問う。

 

「学生時代に何をどう考えて行動してきたかという話はそう簡単には作れない」。自分の過去の行動をもとに深く思考する力を探る。コミュニケーション力は「ノリが良くて会話が弾むということではない」と指摘する。課題を解決するためにどう取り組んだのかとの経験を話せることが大事なようだ。

 

りそな銀行の信沢憲吾グループリーダー(40)からは「自分を良く見せようとガードが堅すぎるとかえって内定を出しにくい」という言葉が返ってきた。

 

面接の準備を重ねると、当日は覚えたことを間違わないように一生懸命になり、緊張しがち。準備した回答にこだわると、「本心が見えない」と受け止められてしまうことも多い。「採用面接では銀行も選んでもらう立場。学生の良いところを見つけようとしているから自然体で臨んでほしい」と呼びかける。

 

「働く環境の変化を前向きに捉えられるかを重視している」と話すのは、三井住友銀行人事部で採用グループ長を務める中村浩一郎さん(40)。総合職は転勤や異動があり、業務の内容が変わることが多い。そうした場合でもきちんと仕事をこなせる人材を求めている。


■経験談、自分の言葉で

 

「スバル」ブランドで知られる自動車メーカー、富士重工業の人事部担当部長の吉岡豊樹さん(46)はサークル活動の話になったとき「そもそもなぜそのサークルを選んだのか」との質問を投げかける。どんな判断をして決めたのかを説明してもらうことで、どのような要素に共感し、興味を持つ人物であるかを見るためだ。

 

サークル活動の経験を語ってもらう場合は「その経験から何を身に付け、どう感じたのか」を重点的に聞く。同じような経験でも人によって受け止め方が異なるため、人柄や価値観を見る指標になるという。

 

「最近の学生は真面目だが、マニュアルにとらわれてしまって個性が見えにくい」と吉岡さん。会社のホームページの内容や面接の応答集を丸暗記するあまり、質問の趣旨に合わない答えが返ってくる例も多いようだ。

 

マニュアルに従って特別な経験談を持ち出すと、かえって自分の言葉で話していないとみられて良い印象を持たれない。「自分の経験を自分の言葉で語っているかどうかが大切」と話す。

 

「自己紹介してください」との投げかけに対して「私の強みは○×です」などとPRから始めるのもよくない。こうしたことは、就活本などを参考に自己PRのやり方を身に付けているとよく起こる。「自己紹介なので大学名や氏名を名乗り、自分がどういう人間であるかを順序立てて説明するのが基本ではないか」と指摘する。


■限界までどう努力?

 

イオングループの採用に責任を持つグループ人事戦略チームのリーダーの田中恒星さん(49)は、延べ1千人を面接した経験を持つ。面接では「価値観を共有できるかどうか」を探る。

 

地域社会に貢献するとの理念に沿って行動できる人を求めている。そのために「指示待ちではなく、率先して行動できる人物かどうかが知りたい。起業家精神があるかどうかも大事」。

 

そうした人物かどうかを探るため、面接では学生時代に打ち込んだことを聞く。「限界までどう努力し、どう問題を捉えて、どう解決しようとしたかを重点的に問う。学歴や学生時代の専攻、出身地などは関係ない」

 

話の内容が実体験にもとづいているかは「面接官はすぐに見抜く」。田中さんは質問の仕方を工夫したりせず、率直に尋ねる。「面接は企業と学生の相性を見る場。自然体で臨んで本心を語ってほしい」と要望する。